壁式特殊構造
Special Wall-structured Construction
柱に頼らず、面で受け止める。
空間効率と耐震性能を両立する新しいRC設計。
壁式特殊構造は、梁や柱ではなく「壁・床」といった面材を主要な耐力要素とする構造方式です。
建物全体を一体の“箱”として捉える設計思想により、層間変形を抑えながら室内空間をすっきりと計画できる点が特長です。
高さ制限や空間効率が重視される建物において、意匠・耐震・施工性のバランスに優れた選択肢となります。
壁式特殊構造とは About the Structural System
建物の構造方式は、性能だけでなく、空間計画・コスト・施工方法に大きく影響します。
また、同じ鉄筋コンクリート・鉄骨であっても、「力をどの要素で受け止めるか」という設計思想の違いによって、最適な方式は変わります。
用途・敷地条件・求められる室内計画に応じて、構造は“建築の骨格デザイン”として検討される重要な要素です。

壁式特殊構造
壁や床といった「面」で建物を支える構造方式です。柱や梁といった突出部が少ないため、室内空間をすっきりとまとめやすく、階高を抑えられることが期待されます。高さ制限の厳しい敷地や、低層~中層規模で効率的な空間設計を求める建物に適しています。
- 耐久性
- 耐震性
- コスト
- 施工性
- 自由度
- 振動・遮音

一般的なRCラーメン構造
柱と梁といった「線材」を組み合わせて建物全体を支える、現在もっとも広く採用されている鉄筋コンクリート造の主流方式です。
- 耐久性
- 耐震性
- コスト
- 施工性
- 自由度
- 振動・遮音

S造
鋼材を用いて構成する、軽量で施工性に優れた構造方式です。長スパン計画や増改築に柔軟で、低層から高層まで幅広い階数・用途に対応できます。
- 耐久性
- 耐震性
- コスト
- 施工性
- 自由度
- 振動・遮音
※実際の案件ではプラン・規模・仕様により評価が変わります。
概要 Overview
壁式特殊構造は、壁式RCのポテンシャルを最大化し、水平ダイアフラムと耐力壁の一体挙動で外力を建物全体で受ける設計コンセプトです。
複雑な接合部に依存しにくく、地震時の変形を小さく抑える傾向があります。
- 面材主体で局所的な応力集中を回避しやすい
- スラブが各階を連結するダイアフラムとして機能
- 開口は周辺補強・袖壁・梁型で剛性低下を抑制
- 耐震性
- 面で外力を受けるため層間変形を抑制。ねじれ・偏心の事前評価で安定した挙動を目指します。
- 空間効率
- 梁型の突出を抑え、天井懐の縮小や有効面積の拡大に寄与。設備計画も合理化。
- 施工合理化
- ユニット配筋・標準化で工程を平準化。品質のばらつきを低減しやすい。
耐震性と施工性 Seismic Performance and Constructability
耐震性
一般的なラーメン構造(柱・梁の線材系)に対し、壁式は建物全体の 6面体で外力を受ける考え方です。面材主体のため、局所的な接合部集中を避け、全体で負担しやすい特性があります。
- ダイアフラム設計により各階で外力を集約→耐力壁へ伝達
- 偏心率や剛性バランスを計画段階で最適化
- 保有耐力・層間変形はプラン条件に応じて個別に検証
※数値比較や検証例は、ご計画に合わせて別途技術資料として提示します。
施工性
- 鉄筋
- 壁端部補強・梁型での配筋は標準化し、ユニット化を前提に工程を整理。太径の集中や圧接発生部は事前に平面で制御します。
- 型枠・コンクリート
- 面材主体のため凹凸が少なく、型枠転用や組立の効率化、コンクリート充填性の確保に寄与します。
メリット Advantages
意匠計画のメリット
- 自由度の高い室内計画
- 梁型のないすっきりした空間計画が可能。家具や設備レイアウトの自由度が向上。
- 耐火・遮音・蓄熱・気密
- 6面体のコンクリートが防火区画・遮音・蓄熱体として機能し、快適な室内環境づくりに寄与。
- 天井高と階高の最適化
- 必要な天井高を確保しつつ階高の抑制がしやすく、外観・設備計画に好影響。
コストメリットの傾向
- 構造体のシンプル化により型枠加工・組立の効率化が期待ができます。
- プラン最適化によりコンクリート・鉄筋数量の合理化が可能です。
- 階高の統一や標準化で転用性・工程平準化に寄与します。
※具体的な数量比較・坪単価への影響は、同一プランでの比較検討資料として個別にご提示します。
仕様・適用範囲の例 Specifications and Example Applications
- 構造体のシンプル化により型枠加工・組立の効率化が期待
- プラン最適化によりコンクリート・鉄筋数量の合理化が可能
- 階高の統一や標準化で転用性・工程平準化に寄与
※本ページは掲載用の概要です。物件ごとの適用可否は個別に評価します。
よくある質問 FAQ
- Q. 多開口でも適用できますか?
- A. 開口周辺補強・袖壁・梁型の活用で適用可能なケースが多いです。性能は計算で個別に確認します。
- Q. ラーメン構造と比較しての違いは?
- A. 壁式は面で負担する設計思想のため、変形抑制と室内の梁型抑制に優位。最適解はプラン・用途によります。
- Q. 数量やコストへの影響は?
- A. 同一プランで概算比較資料を作成し、コンクリート・型枠・鉄筋・階高の観点からご提案します。
ご相談・技術資料の請求 Inquiries and Technical Document Request
ご計画の用途・規模・敷地条件をお知らせください。概略スタディ、適用性の一次診断、比較資料の作成までワンストップで対応します。
お問い合わせ・ご相談
田中構造設計(福岡事務所) 092-406-7779
電話受付時間 土曜を除く平日 9:00~18:00



